シェアリングエコノミー社会 お互いが売る人買う人 買ってすぐ売る人 経営計画データ 変革が必要[日本の未来を考える]
□ 今日の一言
シェアリングエコノミー時代になると、産業の構造が根底から変わります。市場調査、分析の方法は、抜本的に変える必要があります。今のままでは、有効な政策、経営計画を立てることができません。
火曜ブログ「日本の未来を考える」
2018年3月27日(火)
□シェアリングエコノミー社会 お互いが売る人買う人 買ってすぐ売る人 経営計画データ 変革が必要
☆前書き
売る人がいて買う人がいた時代が終わりそうです。誰でも売る人であり、買う人でもある「個人間商取引、CtoC、(注1)」が、中心になる時代が来るのです。シェアリングエコノミーの時代は、そのような人が支える時代になります。2018年3月13日の日本経済新聞は、これを取り上げていました。今日は、これをブログに書きます。記事は、以下のように書き出しています。
☆引用・1
「川崎市に住む、唐沢仁(28)は、高級車のジープチェロキーを中古で購入。さらに個人間カーシェアリングサービス「エニカ(注2)」で、1回当たり6800円で貸し出している。エニカで貸出しの多い上位車種には、BMWやポルシェといった高級車が並ぶ。個人で所有が難しい高級車も、シャアでは安く楽しめる。エニカの会員数は、サービス開始から2年で、9万人を越えた。カーシェアの国内会員数は、2017年に初めて100万人を突破し、この5年で6倍になった。必要な時だけ使う。そんな手法の拡がりが続けば、自動車保有台数そのものは、頭打ち感が一段と強まる可能性がある。」
☆解説
カーシェア産業と言えば、車を貸す会社が沢山の車を持って、利用者は車を持たず借りる産業のように思いますが、そうでもないのです。記事の唐沢さんは、普通なら持てない高級車を持っています。そして、カーシェアリングサービスの会員になり、この高級車を時間貸しで貸して、購入費を回収しています。そして、自分が車に乗りたい時は、その用途に会った車種を、カーシェアリングサービスを通じて借りるのです。それも、サービス会社の車ではありません。サービス会社の会員の車です。つまり、これは、サービス会社が仲介した個人対個人の取引なのです。
こういうことになると、この両人は、事実上、多品種の車を持ち、用途に応じて使い分けていることになります。私は、このことにより、世の中に出回る車の総台数が減ることは、あまりないと想像しています。もし減ったとしても、減るのは使われない車です。
むしろ、高級車の利用が増え、使われる車の車種、用途は多様となり、車の利用機会も増大するでしょう。人々の幸福度に対する車の貢献は、さらに高まります。
☆引用・2
この記事は、もう一つの視点でも書いています。これも引用してみましょう。
「『あまり着ないかもしれないけど、この値段で売れるなら買った方がいい』。都内の会社員、黒井美紀(28)が新品の洋服を買う時に見るのが中古相場だ。フリーマーケットアプリ『メルカリ』で、一度着ただけの2万円のワンピースを1万2千円で売った。実質8千円で買ったことになり、『フリマアプリ』のお蔭で気軽に買える。」
「千葉県の主婦(40)も2018年1月、不用になったバックや子ども服をメルカリで売り8万円を得た。今は、別のアプリで海外ブランドの財布を探す。中古商品の掲載数がもっとも多いのが、仏ルイヴィトン。価格も下がりにくいとされる。『エルメスもいいけど、また売ることを考えるとルイヴィトンが無難かな。』」
☆解説
今、アパレル業界では、「ワンショットファッション、(注3)」と言う言葉が流行しています。これは、フェースブック、ツイッター等のSNSに投稿するために、一度だけ着て、すぐ手放す人達のファッションを言うのです。この人達は、すぐ売ることを前提にして買いますが、買わないで借りることに徹する人もいます(参考資料2、注4)。でも、どちらでも、コスト的には、大差はないようです。月に何回、SNSに投稿するかは、一人一人の収入によるでしょう。
でも、このケースでは、この人達の年間の衣服への消費が、今までのアパレル店の顧客一人当たりの年間売上に相当します。今、アバレルの売上げが減っていると言われますが、それを言うには、これ等も含めて考えねばなりません。そうしなければ、実態はわからないのです。アパレル店舗での売上げは減りますが、この人達の消費は増えているのです。この人達が、SNSへの投稿を増やしてくれれば、アバレルの消費は、確実に拡大するのです。
☆まとめ
いままでは、産業を、製造業と商業に分けていました。そして商業を営む人を「商人」と呼んできました。でも、ここで、車を貸した唐沢さんや、唐沢さんに車を貸してくれた人を「商人」と言うのは、ちょっと、言葉が似つかわしくないと思われます。そうするとこの商いしている業種も「商業」と呼ばずに、なにか別の言葉を探したくなるのです。近年は、それほど産業の実態が激変してきているのです。
また、アパレル産業も、製造業と商業にわけ、商業の売上で、業界の盛衰を見てきました。これも疑問です。政策を立案するにも、経営計画をたてるにも、そのための調査をするにしても、その方法には、抜本的に見直さねばならない課題が山積してきています。
(参考資料1、2018.3.13、日経を参照して記述。「 」内は引用)
(注1) CtoC(onsumer to consumer):消費者同士で直接取引を行うこと。
(注2) エニカ(Anyca):ディー・エヌ・エー(DeNA)が2015年9月から開始した、個人間カーシェアサービス。
(注3) ワンショットファッション:フェースブック、ツイッター等のSNSに投稿するために、一度だけ着て、すぐ手放す人達のファッション。
(注4) 参考資料2、pp.40〜42、椎野潤ブログ、夢に満ちた国に住む、おしゃれ着、借りて着こなす、2018年2月19日。日本経済新聞、2018年2月5日(朝刊)から引用。
参考資料
(1)日本経済新聞、2018年3月13日。
(2)椎野潤著:椎野潤ブログ集、2018年2月号。シェアビジネスの広がり/所有からの解放が向う先、メディアポート、2018年3月15日。(アマゾン オンデマンド出版)
月刊 椎野潤ブログ集 2018年1月号が、出版になりました。
タイトルは、飛躍する「個の力」―熱意・技・智恵の共有です。本書の中では、個人の力が組織を越えて、熱意や情報、技、智恵を共有して連携し、伸びていく姿が、浮かんで見えると思います。また企業も、この個の力のダイナミズムを捉え、ビジネス活動に繋げています。「空気を読む」静かな雰囲気の中で、個の力が躍動する姿を、読者に感じていただけるものと期待しています。
このタイトルは、「GR現代林業」の白石善也さんに付けていただきました。また、この解説は、白石さんから、お話しをうかがって書いたものです。
月刊ブログ集の今月号のアマゾンサイトのアドレスは以下の通りです。
https://www.amazon.co.jp/dp/4865582053/
最近のブログは、過去ブログを多く引用しています。本書を座右において、参照いただくと便利だと思います。ご活用ください。月間ブログ集が、2017年9月号〜2018年1月号と5冊揃いましたので、私のブログを書く作業が、一段と楽になりました。
直近5ヶ月にブログを書いたものは引用して、重複した記述を避け、その日のブログを、さらに深く掘り下げて書くようにしています。また、検索がとても楽です。特に、過去ブログを探す時、凄く楽です。
2018/03/27 7:04:01 |