中古品リユース大手 居抜き出店拡大 撤退産業の店舗利用[未来社会を拓くサプライチェーンマネージメント]
□ 今日の一言
このブログでは、ネット通販との闘いに破れたカジュアル店が撤退し、そのあとに、カジュアル中古品のリユース店が入っていました。考えてみれば、これは、シェアリングエコノミー時代の到来で、「所有」から「使う」時代に移っていく姿そのものだったのです。シェアリングエコノミーで、若い女性はカジュアル衣料をネットで買って、ちょっと着て、すぐ売っていました。そして、また、すぐ買います。この「リユース店」は、シェアリングエコノミーでは、「シェアリングセンター」なのです。
木曜ブログ「未来社会を拓くサプライチェーンマネジメント」
2018年11月29日(木)
□中古品リユース大手 居抜き出店拡大 撤退産業の店舗利用
☆前書き
ネット通販との闘いで苦戦している実店舗産業の空き店舗に、リユース産業が、どんどん、入って拡大しています。日本経済新聞に、これに関する記事が出ていました。今日は、これを取り上げてブログを書きます。記事は、以下のように書き出しています。
☆引用
「中古品のリユース大手が、『居抜き出店(注1)』で、店舗拡大を進めている。カジュアル衣料品や家電量販店などが撤退した物件を活用し、出店コストを削減する狙い。ネット通販の普及で実店舗は苦戦するが、リユース各社は、商品の買い取り拠点として出店を続ける。拡大する中古品需要を取り込むべく、コストを抑えて店舗展開を進める狙いだ。」
☆解説
中古品リユース大手、トレージャー・ファクトリー(注2)は、グループで190店舗出店しています。2019年2月期は、9店舗出店しましたが、その全店舗を「居抜き」で出店しました。カジュアル衣料品や家電量販店など、ネット通販との闘いに苦戦して撤退した産業の店舗が多いのです。
皆、良い立地に建っており、それが低コストで借りられますので、店舗展開のコストが低減できます。中古品の買い取り及び販売は、カジュアル衣料品、家電、ブランド品、小物雑貨など、いろいろな商品がありますが、やはり、カジュアル衣料と家電が多いのです。ですから、撤退した元の産業と同じ産業の中古品店が入るのが、一番、好都合なのです。店の用途も似ており、そのまま使えることも多いのです。カジュアル衣料品店が入っていた物件に出店した際には、前の店舗の内装、陳列棚、試着室が、そのまま、使えました。
また、カジュアルの後に、中古カジュアルが入る場合では、客には前の店の印象が残っています。良い印象が残っていれば、その後に入る中古カジュアルの販売に、有利になることも多いのです。もともとは、商品の買い取り拠点としての出店でしたが、中古商品の販売も始めました。
ブックオフコーポレーションも、今期8店舗を居抜きで出店しています。同社の運営する店舗の9割は、居抜きでの出店です。
☆まとめ
今、社会はシェアリングエコノミー社会に、急速に移行し始めています。シェアリングエコノミーの中で生きている、若い女性は、フリーマーケットで売られているカジュアル衣料品を買っています。買って、短期間着て、すぐ売ります。その間に、写真をとって、フェースブックに投稿します。この場合、買う時のポイントは、高く売れるものを買うことです。これで、新品の服を買って着るよりも、衣服費は安くなります。
この女性にとっては、市場にあるカジュアル衣服は、多かれ少なかれ、誰かが着たことのある服です。つまり、シェアリングエコノミー社会では、カジュアル衣料品は、殆ど全て中古品なのです。この女性からみると、トレージャー・ファクトリーの中古カジュアル衣料の「リースショップ」は、カジュアル衣料の「シェアリングセンター」なのです。
このブログに出てくる、ネット通販に負けて撤退したカジュアル店のあとに、カジュアルリユース店が入るということは、「所有する」社会から「使用する」社会に移った、産業構造変化そのものなのです。シェアリングセンターだとすれば、この店は、買い取り拠点で良いのです。買い取り拠点兼販売拠点なのです。
撤退したカジュアル店の後に、カジュアルシェアリング店が入るというのは、商店街側も、街に空洞が出来るのが防げて、大歓迎です。衰退する産業と勃興する産業のバトンタッチが、うまく進み始めています。
(参考資料1、2018.11.19、日経を参照して記述。「 」内は引用)
(注1) 居抜き出店:閉店した店舗の建物を利用して出店すること。
(注2) トレージャー・ファクトリー:中古品リユース大手、リユースショップ運営、リユー
ス品のインターネット販売および買い取り。本社、東京(千代田)。設立、1995
年5月。
参考資料
(1)日本経済新聞、2018年11月19日。
月刊 椎野潤ブログ集 2018年2月号が、出版になりました。
タイトルは「シェアビジネスの広がり―所有からの解放が向かう先」です。
本書の中では、「車、自転車、オフィス、そして洋服・アクセサリーにまでシェアリングエコノミーが広がる事例が紹介されています。それは、所有より求める機能のみを享受したいという市場の広がりでもあります。所有するさまざまな負担から解放されるとき、人々のエネルギーはどこに向かうのでしょうか。」そのことを2月号のタイトルにしました。
このタイトルは、「GR現代林業」の白石善也さんに付けていただきました。また、この解説は、白石さんから、お話しをうかがって書いたものです。
月刊ブログ集の今月号のアマゾンサイトのアドレスは以下の通りです。
https://www.amazon.co.jp/dp/4865582061/
最近のブログは、過去ブログを多く引用しています。本書を座右において、参照いただくと便利だと思います。月間ブログ集が、2017年9月号〜2018年2月号と6冊揃いました。それで私のブログを書く作業は、凄く楽になりました。
直近6ヶ月にブログを書いたものは引用して、重複した記述は避け、その日のブログを、一層、深く掘り下げて書くようにしています。また、検索は、とても楽です。特に、過去ブログを探す時、凄く楽です。
2018/11/29 0:24:01 |