ドイツ水素社会へ猛突進[日本の未来を考える]
□ 今日の一言
ドイツで、世界初の水素鉄道が走り始めました。日本は水素社会にむけて、実験は、早くから始めていますが、あくまでも、実験に止まっています。「しばらくは、赤字でも我慢して乗り越えよう。」「電気料金も、しはらくは、高くても仕方ない。乗り越えた先には、明るい未来がある」という発想に欠けています。この激動の世界の中で、これでは、どんどん、遅れて行きます。
日曜ブログ「日本の未来を考える」
2018年9月30日(日)
□ドイツ水素社会へ猛突進
☆前書き
ドイツが水素社会に、本格参入しました。2018年9月14日の日本経済新聞の夕刊が、この記事を書いていました。今日は、この記事を読んでブログを書きます。記事は、以下のように書き出しています。
☆引用
「水素を使って環境負荷の少ない社会を実現する『水素社会』の実現を、ドイツが急いでいる。2018年9月16日に、水素と空気で電気を起こして走る燃料電池鉄道の世界初の営業運転を始める。旭化成はドイツ西部で、再生可能エネルギーから水素を製造する設備の事業化をめざす。水素社会は日本が世界に先駆けて推進するが、二酸化炭素(CO2)排出削減に、官民挙げて取り組む独政府が追っている。」
☆解説
ドイツで、水素と空気で電気を起こして走る、燃料電池鉄道の世界初の営業運転が開始しました。ハノーバー近郊の地域鉄道路線を走る、14編成のうち2編成が、最初に走る車両となりました。最初に走るのは2編成ですが、2021年には、全てを置きかえます。最高時速140キロメートル、走行距離千キロメートルと、ディ−ゼル列車と同等です。価格は、現状では、1〜2割程度高いのですが、10年ぐらいで回復できます。
燃料電池車は、車両の上に燃料電池と水素タンクを備えています。燃料電池で空気中の酸素から電気を作り、モーターを回して走ります。走行中に排出するのは蒸気と水だけで、環境負荷が低いのです。アルストムが開発に着手したのは2014年です。わずか4年で商用化できたのは、ドイツ政府の後押しが大きかったのです。
自動車分野では、乗用車に先駆けて普及が始まりそうな燃料電池バスを、西部ケルン市が、2019年春から導入します。
一方、旭化成は、ドイツ西部の旧炭鉱の町ヘルテンで、2018年4月、水から水素を取り出す水電解装置の実証拠点を、開設しました。同社は、神奈川県などで実証施設を運営していました。でも、事業化に選んだ拠点はドイツでした。理由の一つは再生可能エネルギーでした。
☆まとめ
私は、ドイツの水素鉄道で、注目しているのは、車両を製造したのが、フランス企業だというところです。製造したのは、フランスの車両大手のアルストムで、製造した工場はドイツ北部にあるザルツキッター工場です。
鉄道産業など、日本の内需産業を牽引する産業は、近年、海外へ進出して頑張っています。日本の鉄道車両の技術は、特に素晴らしく世界各国へ輸出しています。しかし、JRの車両を、海外の企業に作らせたのは、あまり聞きません。人口減少のもと日本の内需産業は、減少傾向が続くのに、国内では大きな挑戦をしないのです。これでは、どんどん、遅れて行きます。
一方で旭化成は、次世代はCO2ゼロのクリーンエネルギー時代がくると予見していました。同社は、次世代でのリーダーを目指しています。そのクリーンエネルギー時代のリーダーになるには、クリーンエネルギーの水素作りで、先頭に立たねばなりません。それには、ドイツしかなかったのです。
ドイツでは、再生エネルギーの全電力に占める割合が、すでに36%に達しています。ですからドイツでは、再生エネルギー由来のクリーン水素を作るのは容易ですが、日本は、まだ、火力発電所が多く無理なのです。
日本の内需産業のリーダーを自認していた旭化成にとって、主力事業の拠点を海外に置くことには、苦しい決断があったと思われます。日本は、内需産業の未来について、抜本的な対策を考えねばならない時期にきています。
(参考資料1、2018.9.14、日経夕刊(深尾幸生)を参照して記述。「 」内は引用)
参考資料
(1)日刊経済新聞、2018年9月14日(夕刊)。
月刊 椎野潤ブログ集 2018年2月号が、出版になりました。
タイトルは「シェアビジネスの広がり―所有からの解放が向かう先」です。
本書の中では、「車、自転車、オフィス、そして洋服・アクセサリーにまでシェアリングエコノミーが広がる事例が紹介されています。それは、所有より求める機能のみを享受したいという市場の広がりでもあります。所有するさまざまな負担から解放されるとき、人々のエネルギーはどこに向かうのでしょうか。」そのことを2月号のタイトルにしました。
このタイトルは、「GR現代林業」の白石善也さんに付けていただきました。また、この解説は、白石さんから、お話しをうかがって書いたものです。
月刊ブログ集の今月号のアマゾンサイトのアドレスは以下の通りです。
https://www.amazon.co.jp/dp/4865582061/
最近のブログは、過去ブログを多く引用しています。本書を座右において、参照いただくと便利だと思います。月間ブログ集が、2017年9月号〜2018年2月号と6冊揃いました。それで私のブログを書く作業は、凄く楽になりました。
直近6ヶ月にブログを書いたものは引用して、重複した記述は避け、その日のブログを、一層、深く掘り下げて書くようにしています。また、検索は、とても楽です。特に、過去ブログを探す時、凄く楽です。
2018/09/30 0:18:04 |