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2019年5月3日

自己紹介
 
本日より当サイトに寄稿させていただきます、南林いづみです。以後よろしくお願いいたします。
職業は画家と書かせていただきましたが、生活の諸費用の一部を作品を売ったお金で補っている程度です。。日本ではアーティストの地位はかなり低いと言われています。アートを取り巻く市場が完成されていないせいかもしれません。経済に対してどう接続されているかが不透明なのです。そのせいで画家というと大金持ちか清貧のイメージを持つ人も少なく無いようですが、様々な方法で人並みに暮らしながら作品を作っている人は大勢います。
 今後本サイトでは主に東京都内で行われる展示をきっかけに美術史や美学、その他様々に作品群からキーワードを取り出して組み立ててみたいと考えています。プロフィールでもおことわりしましたが依然勉強中の身です。間違いはご容赦いただき、もし望めるならばご指摘いただけて、コミュニケーションが生まれたりしたらこんな喜びはないと思っています。重ねてよろしくお願いいたします。
 
早速ですが、先日キース・ヘリング美術館の企画展を見ました。
検索していただけばすぐに見覚えのあるものが出てくるのではないでしょうか。彼の作品はTシャツやステッカー、ファッションブランドのコラボレーションなど様々なところで見かけます。彼の名前を知らなくても、作品を目にしたことのある人は多いと思われます。
彼は、生きていれば今年で61歳です。わずか31歳で、彼が生きていた時代には「ゲイ・キャンサー」と呼ばれたこともあるエイズの合併症で亡くなりました。たった10年ほどのキャリアのなかで彼は膨大な作品と、多くの問題に対する明快な希望を残していきました。彼がキャリアの始まりからなくなる直前まで描いていた「ラディアント・ベイビー」はその最たるものでしょう。
キース・へリングは1980年代にアメリカで活動したアーティストです。当時のアメリカはイラン・イラク戦争の勃発や黒人差別問題の克服、エイズの発見とその治療薬のAZTの認定など大きな波が立て続けに起きた時代でした。またソビエト連邦ではチェルノブイリ原発事故が起こり、はたまたドイツではベルリンの壁が崩壊しました。へリングが亡くなった1990年にはWHOの「精神疾患のリスト」から「同性愛」が削除されました。戦争と平和、マイノリティとマジョリティがせめぎ合い多くの事柄が新しい理解を獲得していきました。
様々な問題を抱えながらもエネルギッシュであった時代に彼が制作した作品はどれも、あくまで個人的な感想ですが、個人を超えた生についての、言葉で表現できる領域を超えてなお明快な感覚が感じられました。言語の領域、つまり思考できる領域を超えて問題の本質に迫り、その解をキャッチーで明快な言葉と作品にまとめ上げているように思いました。みんなが抱える生・性・死などに関わる問題を、みんなに届けるために尽力した作家だと思います。
彼の活動において「みんな」というのはとても重要なキーワードでしょう。彼は作品や自身のスタンスについて語るときこの言葉をとにかくたくさん使っていたようです。みんなに見てもらえる、みんなが手に入れられる、みんながわかる、という具合です。
 
彼の作品については後日もっとよく調べてからまとめたいと思いますが、参考資料が手元にないため次稿は音楽についての個人的な記事になります。ロックミュージックの抱える矛盾などについて一人のリスナーとして感じたことをTHE1975とGreenDAYというバンドの共通点から考えたものです。お読みいただければ幸いです。
 
 

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