「内省」の力と大学教育の意義(続々)

2019年5月8日

文科省の「教養教育」 今回は、前回の「内省」に関する分析を踏まえて、国がどのような「教養教育」を進めているのかについて検討します(以下の参考資料は、中央教育審議会の「答申」です)。 まず、文部科学省(以下、文科省)は、「教養」について、次のように定義しています。それは、「個人が社会とかかわり、経験を積み、体系的な知識や知恵を獲得する過程で身に付ける、ものの見方、考え方、価値観の総体」です。 今なぜ...

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