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    「創造性」についての覚書(その七)

    提言の前提 今回は、〈川喜田二郎編〉の最終回になります。前回指摘したのは、川喜田の狙いとは対照的に、現代の若者が世界の「外」にいて、「今」を過去や未来との関係で捉えていないという問題です。 また、この「今の捉え方」が、「自分の歴史の捉え方」とも関連しながら、「自己意識」あるいは「個性」を形成してゆくのです。この点を踏まえて、最終回では、改めて川喜田の「核心的論理」の“矛盾”...

    2019年6月30日

    中西 哲也

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    「創造性」についての覚書(その六)

    「今」の捉え方 前回は、「個性」に関する、川喜田二郎の「核心的論理」を批判的に検討しました。簡潔に言えば、「核心的論理」の前提となっている「世界内的認識」は、「無我」の状態であるべきなのに、「環境」に意識を向ける主体が存在しているという問題を抱えています。 今後、この川喜田批判の意味を具体的に考えてゆくために、「今の捉え方」という問題を取り上げます。以下では、川喜田の議論と現代の若者の捉え方を比較...

    2019年6月27日

    中西 哲也

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    「創造性」についての覚書(その五)

    「環境」と「個性」 今回から、前回抽出した、川喜田二郎の「核心的論理」とその前提を批判的に検討していきます。 川喜田の「核心的論理」とは、「環境」をしっかりと把握することができさえすれば、自然と「個性」や「主体性」も発揮できるという論理でした。この論理は、自己が自然・環境と一体であるという境地を前提として組み立てられていました。 このように、川喜田の「核心的論理」では、「環境」と「個性」という2つ...

    2019年6月21日

    中西 哲也

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    「創造性」についての覚書(その四)

    思想としての「総合」 今回は、川喜田二郎の議論の意義を確認したあとで、「個性」と「主体性」に関する「核心的論理」を抽出します。 川喜田によれば、「我」を前面に出す西欧文明には、次のような特徴があります。それは、自分が創造するのみで、創造によって自分が変わることを認めないことや、仕事を信じて任せることをしないといったことです。こうした特徴をもつ西欧文明は、「三大公害」を深刻化させてしまいました。 近...

    2019年6月13日

    中西 哲也

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    「創造性」についての覚書(その三)

    「全体状況」と「絶対感」 前回は、川喜田二郎の近代西欧文明批判を解説しました。近代西欧文明の「我」に対して、川喜田は「没我」・「無我」を強調します。 「没我」・「無我」の境地とは、「我」ではなく、「渾沌」(こんとん)からはじまります。また、主体も客体から影響を受けるということを認めます。こうした点を踏まえて、今回は、「創造的行為の内面世界」の諸特徴について説明したいと思います。 まず、創造的行為を...

    2019年6月6日

    中西 哲也

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    「創造性」についての覚書(その二)

    デカルト的「我」と近代西欧文明 はじめに、川喜田二郎の議論を整理しておきましょう。川喜田は、現代の問題の根本原因は近代西欧文明にある、と論じています。この点が、川喜田の議論の軸となっています。 創造性とは問題解決の能力です。具体的に川喜田は、KJ法を通じて実践することによって、現在露呈している日本や世界の問題を解決しようとします。 それでは、川喜田の批判の対象となっている、近代西欧文明の特徴につい...

    2019年5月31日

    中西 哲也

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    「創造性」についての覚書(その一)

    なぜ川喜田二郎なのか 今回から4回にわたって、川喜田二郎の書籍を取り上げます。「KJ法」を開発した川喜田二郎が、「創造性」についてどのように考えていたのかについて検討していきます。 まず、なぜ川喜田二郎を取り上げるのかについて説明します。前回までの検討で明らかになった、「創造性のプロセス」を整理しておきましょう。 内省 → 教養 → 課題探求能力 → 創造性 要するに...

    2019年5月25日

    中西 哲也