関連記事

  • 知性

    「クリエイティブ思考」とは何か(16)

    「今」が「自分の内」にあるということ 前回は、筆者の経験を参考にしながら、“直観による内省”を明確にしました。実は、この筆者の考えは、小林秀雄の議論だけでなく、福田恆存の議論もモチーフとしています。シリーズ最終回の今回は、前回の内容を踏まえた上で、福田の議論を検討したいと思います。 さて、前回説明したように、筆者が経験から引き出した結論が、“直観による内省&rd...

    2020年5月28日

    中西 哲也

  • 知性

    「クリエイティブ思考」とは何か(15)

    妄想の内容と仕組み 今回は、前回言及した小林秀雄の議論をモチーフにして、“直観による内省”の意義をさらに明確にします。その際に、筆者自身の経験を題材とします。 筆者の経験とは、「統合失調症」の罹患なのですが、次のような幻聴と幻覚が生じていました。それは、簡潔に言えば、“闇の世界”の人間が、筆者の存在を消そうとしているという内容でした。 具体的に言えば...

    2020年5月24日

    中西 哲也

  • 知性

    「クリエイティブ思考」とは何か(14)

    おさらい このシリーズでは、まず『FUTURE INTELLIGENCE』の全体の構図を明らかにし、それに対する筆者の批判的観点も明らかにした上で、各章を検討してきました。今回は、筆者の“直観による内省”という考えを明確にするために、改めて同書の要点を振り返ります。 同書によれば、「自らの矛盾」を受け入れることが、「これからの時代に必要とされる知性」です。具体的に、その矛盾...

    2020年5月21日

    中西 哲也

  • 知性

    「クリエイティブ思考」とは何か(13)

    人と違う考え方をする 今回は、第10章「異端――アウトサイダーでいる」を、批判的に検討します。この章の要点は、「クリエイティブ思考」の人は、批判を恐れないということです。その根拠は、抵抗に直面しても、自分を貫き通すことによって、独創的なものを生み出すことができるという点にあります。 さて、「おしなべて人は〔中略〕、イノベーションを目標とし、それに価値をおきながらも、新しいアイデアを否定しようとする...

    2020年5月11日

    中西 哲也

  • 知性

    「クリエイティブ思考」とは何か(12)

    逆境と創造性の「相関関係」 今回は、第9章「逆境――辛い体験で成長する」を、批判的に検討します。この章の要点は、クリエイティブ思考の人は、逆境(adversity)を経験する可能性が高いということです。その根拠は、クリエイティブな人は、苦しみに意味を見い出すことができるという点にあります(スコット・バリー・カウフマン&キャロリン・グレゴワール『FUTURE INTELLIGENCE――これからの時...

    2020年5月6日

    中西 哲也

  • 知性

    「クリエイティブ思考」とは何か(11)

    点と点をつなぐ 今回は、第8章「繊細――傷つきながら、深く感動する」を、批判的に検討します。この章の要点は、クリエイティブな人は感受性が高いということです。その根拠は、敏感さ(Sensitivity)によって、経験に意味を見い出すことができ、内面的な成長を遂げうるという点にあります。 以上の論理を踏まえると、次の記述が重要です。「敏感な人は往々にして、他の人が見逃すような些細なことに気づき、他の人...

    2020年4月28日

    中西 哲也

  • 知性

    「クリエイティブ思考」とは何か(10)

    「マインド・フルネス」から「マインド・ワンダリング」につなぐ 前回検討したように、第7章の核心は、瞑想が「クリエイティブ思考」を高めるという点にあります。その理由は、瞑想によって、「外」だけでなく「内」にも心を向けることが可能になるからです。 さて、同書はこれまでにも、「経験」を重要なキーワードとして説明していましたが、この章では具体的に、次のように「経験」について説明しています。それは、「外界の...

    2020年4月23日

    中西 哲也

  • 知性

    「クリエイティブ思考」とは何か(9)

    「マインド・フルネス」の定義 今回と次回にわたって、第7章「瞑想――観察し、点と点をつなげる」を、批判的に検討します。この章の要点は、「瞑想は『観察スキル』を養うことによってもクリエイティブ思考を高める」ということです。その根拠は、瞑想によって、自分の「外」だけでなく「内」にも心を向けることが可能になるからです(スコット・バリー・カウフマン&キャロリン・グレゴワール『FUTURE INTELLIG...

    2020年4月19日

    中西 哲也

  • 知性

    「クリエイティブ思考」とは何か(8)

    「好奇心」とその意義 今回は、第6章「好奇心――非日常の体験で限界を広げる」を、批判的に検討します。この章の要点は、好奇心(openness to experience)は「クリエイティブ思考」に欠かせないということです。その根拠は、好奇心から非日常的な経験を積むと、「習慣的な思考パターンからの脱却」を実現できるからです(スコット・バリー・カウフマン&キャロリン・グレゴワール『FUTURE INT...

    2020年4月11日

    中西 哲也

  • 知性

    「クリエイティブ思考」とは何か(7)

    無意識からひらめく 今回は、第5章「直感――無意識の声を聞く」を検討します。この章の要点は、無意識からひらめきを得るためには、外に「注意」を向けた状態から「内省」へと切り替える必要があるということです(スコット・バリー・カウフマン&キャロリン・グレゴワール『FUTURE INTELLIGENCE――これからの時代に求められる「クリエイティブ思考」が身につく10の習慣』大和書房、2018年、106頁...

    2020年4月3日

    中西 哲也

  • 知性

    「クリエイティブ思考」とは何か(6)

    「孤独な内省」という論理 今回は、第4章「孤独――ひとりの時間で考える」を批判的に検討します。この章の要点は、「創造」には「孤独」(Solitude)が必要だということです。その根拠として、「孤独な状態で内省すると」、「自分の心と親密になれる」ので、意味や洞察が得られるという点が挙げられています(スコット・バリー・カウフマン&キャロリン・グレゴワール『FUTURE INTELLIGENCE――これ...

    2020年3月28日

    中西 哲也

  • 知性

    「クリエイティブ思考」とは何か(5)

    無意識とつながる 今回は、第3章「夢想――自分と深くつながる」を検討します。この章の要点は、「マインド・ワンダリング」は「クリエイティブ思考」に欠かせない、ということです(スコット・バリー・カウフマン&キャロリン・グレゴワール『FUTURE INTELLIGENCE――これからの時代に求められる「クリエイティブ思考」が身につく10の習慣』大和書房、2018年、54、56頁)。その根拠は、「マインド...

    2020年3月21日

    中西 哲也

  • 知性

    「クリエイティブ思考」とは何か(4)

    「本当の自分」に出会う 今回は、「第2章 情熱――何かに夢中になる」を、批判的に検討します。この章の要点は、「情熱」を持っている人は「クリエイティブ思考」になれるということです。その根拠は、情熱を持っている人は「内」から出発できるという点にあります。また、情熱だけでは「クリエイティブ思考」になるには不十分で、努力も必要とのことです。 最初に、「クリエイティブ思考」の人々の特徴として、「情熱」(Pa...

    2020年3月15日

    中西 哲也

  • 知性

    「クリエイティブ思考」とは何か(3)

    遊びと創造 今回からは、これまでに抽出した『FUTURE INTELLIGENCE』の全体像を踏まえて、各章を読み解いていきます。 結論から言えば、第1章の要点は、「遊びがクリエイティブ思考を養う」ということです。そして、その根拠は、子どもたちが「遊びを通して自分自身のことや、まわりの環境と自分との関係を理解しようとしている」からです(スコット・バリー・カウフマン&キャロリン・グレゴワール『FUT...

    2020年3月9日

    中西 哲也

  • 知性

    「クリエイティブ思考」とは何か(2)

    「知性」について 前回予告した通り、「定義」に関する前回の説明を踏まえて、今回は、シリーズの「課題」を設定します。カウフマンとグレゴワールによれば、「これからの時代に求められる知性」とは、「自らの矛盾や複雑さを受け入れる」ことです。前回は具体的に、その「矛盾」の内容として、「マインド・ワンダリング」と「マインド・フルネス」について説明しました。 改めて、以上の内容を確認しておきましょう。同書によれ...

    2020年3月3日

    中西 哲也

  • 知性

    「クリエイティブ思考」とは何か(1)

    「マインド・ワンダリング」と「マインド・フルネス」 今回のシリーズでは、スコット・バリー・カウフマン&キャロリン・グレゴワール『FUTURE INTELLIGENCE――これからの時代に求められる「クリエイティブ思考」が身につく10の習慣』(大和書房、2018年)を取り上げます(原題は、Wired to Create: Unraveling the Mysteries of the Creativ...

    2020年2月26日

    中西 哲也