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パラドックス 直感と論理(10)
利益よりも製品重視 前回は、ジョブズが「直感」を重視していたことを明らかにしました。今回は、「直感」だけでなく、ジョブズがその「直感」を相対化(内省)する作業も行っていたことについて述べます。 ジョブズによれば、「原動力は製品であって、利益じゃない」(アイザックソン『ジョブズⅡ』、467頁)。ところが、「これをひっくり返して、金儲けを目的にしてしまった」ら、「すべてを変えてしまうんだ――誰を雇うか...
2019年10月31日
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パラドックス 直感と論理(9)
テクノロジーとリベラルアーツの交差点 今回と次回の2回にわたって、ウォルター・アイザックソン『スティーブ・ジョブズ』(講談社、2012年)を参考にしながら、ジョブズの創造性の源泉について学びます。まず、再びジョブズを取り上げる理由について説明します。 結論から言えば、その理由はジョブズが、「新自由主義」の全盛期にありながら、自分の「内」から「外」という論理を貫徹することができた人物だからです。 前...
2019年10月31日
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パラドックス 直感と論理(8)
「マネー資本主義」と英米型思考の再検討 『学ぶということ』の中から、池上彰と美馬達哉、そして鹿島茂の論考を検討しました。全員が「直感」と「計算」について触れていましたが、“直感に基づいて計算を行う”ために「内省」を行うという考えではありませんでした。彼らの論考では、「直感」と「計算」が対立的に捉えられています。 今回は、これまでの批判的検討と筆者の問題関心を踏まえて、どのよ...
2019年10月26日
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パラドックス 直感と論理(7)
鹿島の議論の核心 今回は、前回の鹿島茂の議論を再整理した上で、批判的検討を行います(鹿島茂「考える方法」桐光学園+ちくまプリマー新書編集部・編『続・中学生からの大学講義1 学ぶということ』筑摩書房、2018年)。 鹿島茂の構図は、野依良治のそれと同じく、個人と社会の関係でした。野依は「無知の知」に触れていましたが、鹿島がどのような論理で、個人と社会の関係を説明しているのかについて確認しておきましょ...
2019年10月20日
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パラドックス 直感と論理(6)
内省による逆説 今回は、『学ぶということ』の中から、鹿島茂「考える方法」を取り上げます(桐光学園+ちくまプリマー新書編集部・編『続・中学生からの大学講義1 学ぶということ』筑摩書房、2018年)。 前回は、「内省」の真の意義は、直感に基づいて計算することを可能にすることだという点を指摘しました。結論から言えば、鹿島も、「内省」について論じているものの、その真の意義を掴むことができていません。 とこ...
2019年10月12日