関連記事

  • 学び

    「直観」について(5)

    知識ドネルケバブ・モデル 今回も、前回に引き続いて、今井の構図において、「直観」と「内省」が重要な役割を果たすことについて説明します。結論から言えば、「直観」と「内省」の関係に関する今井の指摘は、“直観による内省”という筆者の仮説に対して、重要な示唆を与えてくれています。 さて、今井が批判の対象とするのが、「知識ドネルケバブ・モデル」です。これは、次のような「知識についての...

    2020年6月29日

    中西 哲也

  • 学び

    「直観」について(4)

    自動処理と制御処理 前回は、“主観的に世界を視る”ことによって「生きた知識」を生むという、今井の構図を検討しました。今井の構図に従えば、知識のシステムをつくり上げる上で、「内省」と「直観」が重要な役割を果たします。“直観による内省”という筆者の仮説に照らして、今井の論理を読み解いてゆく上での課題は、「直観」の重要性を強調しながら、「内省」の役割をどの...

    2020年6月24日

    中西 哲也

  • 学び

    「直観」について(3)

    知識のシステムを創る 前回は、“主観的に世界を視る”という今井むつみの論理を検討しました。今回は、第2・3・4章を検討して、次の点を確認します。すなわち、「生きた知識」をつくり上げる上で、「内省」と「直観」が重要な役割を果たす、という点です。 まず、「生きた知識」をつくり上げるという目的を踏まえて、第2章では、知識のシステムを創ることの重要性が強調されています。今井によれば...

    2020年6月20日

    中西 哲也

  • 学び

    「直観」について(2)

    「生きた知識」にするということ 前回は、今井むつみの書籍のエッセンスを確認しました。それは、簡潔に言えば、子どもによる母語の習得過程を検討対象として、「知識=事実の断片」として捉えるのではなく、「生きた知識」――知識が体の一部となること――を目指すというものでした。 今後同書を検討してゆく上で、同書のエッセンスを踏まえて、筆者が意識すべき点があります。それは、精神疾患から“元に戻す&r...

    2020年6月13日

    中西 哲也

  • 学び

    「直観」について(1)

    意味を推測して、自ら学ぶ 今回のシリーズでは、今井むつみ『学びとは何か――〈探求人〉になるために』(岩波書店、2016年)を取り上げます。シリーズの初回は、筆者の問題関心に基づいて、「はじめに」と「おわりに」を検討します。 まず、筆者の問題関心とは、端的に言えば、次のようになります。精神疾患が「寛解」に向かう過程とは、子どもが母語を学ぶ過程と、ほぼ同じなのではないか。したがって、子どもによる母語の...

    2020年6月6日

    中西 哲也