関連記事 小林秀雄 人生観(12) 描写と観察力の時代 前回説明したように、小林秀雄によれば、表現には自覚が必要です。具体的に言えば、詩が音楽家の創作方法に倣ってつくられるとき、言葉は「感覚的実体」となるのです。なぜ小林がこの点について強調したのかと言えば、以下で説明するように、観察力に基づいて描写が重視されるに伴って、言葉が実体を持たない「記号」となってしまったからです。 小林によれば、「現代は散文の時代である」。散文では、前回説... 2021年12月27日 中西 哲也