関連記事
-
太宰治 坂口安吾『不良少年とキリスト』
今回は、坂口安吾『不良少年とキリスト』(新潮社、2019年)を取り上げます。太宰治と同じ「無頼派」として知られている作家の坂口は、1948年の時点で、どのように太宰の死を捉えていたのでしょうか。 結論から言えば、坂口は、太宰の死は彼の「虚弱」によるものだと考えています。坂口によれば、その特質は、「フツカヨイ」であって、太宰は「M・C」(マイ・コメディアン)になりきることができないという点にありま...
2022年4月25日
-
太宰治 加藤典洋『完本 太宰と井伏』
今回は、加藤典洋『完本 太宰と井伏―ふたつの戦後』(講談社、2019年)を取り上げます。加藤は、前回取り上げた猪瀬直樹『ピカレスク』に刺激を受けて、同書を書いたそうです。それでは、太宰治の死に関する猪瀬の仮説について、加藤はどのように考えているのでしょうか。 まず、加藤は、『人間失格』について、「ギリギリのところで、正直に語られているようだ」という印象を持っています。この小説では、「はしがき」や...
2022年4月21日
-
「無」 鈴木祐『無(最高の状態)』
今回は、鈴木祐『無(最高の状態)』(クロスメディア・パブリッシング、2021年)を取り上げます。鈴木は、苦しみのメカニズムを理解した上で、エビデンスに基づいた対策を取るように提唱しています。鈴木は、脳科学や神経科学の最新の成果を紹介しながら、柔軟な思考で変化に対応するには、「観察」の意義を知るべきだと論じています。 まず、鈴木によれば、私たちがなぜ苦しむのかと言えば、「自分が悪かったのではないか...
2022年4月17日
-
親鸞 五木寛之『私の親鸞―孤独に寄りそうひと』
親鸞との出会い 今回は、五木寛之『私の親鸞―孤独に寄りそうひと』(新潮社、2021年)を取り上げます。なぜ五木は親鸞の教えに心惹かれたのでしょうか。もしかすると、戦争体験がなければ、五木の親鸞との出会いは、それほど私たちに感銘を与えるものではなかったかもしれません。 五木は、大日本帝国が敗北して平壌から日本へ引き揚げようとしましたが、その過程で母を亡くしています。もちろん、平壌になだれ込んできたソ...
2022年4月10日