文筆家
なかにし教室・講師中西 哲也

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四谷学院・非常勤講師/ECC国際外語専門学校・非常勤講師(~2021年)/龍谷大学法学部・非常勤講師(~2018年)/関西学院大学・法学研究科・博士後期課程単位取得退学

中西 哲也の新着記事

  • ふりかえる

    縁を切る

    私は、将来、知人や親戚筋とは、完全に縁を切ろうと思っている。今でも切りたいのだが、親や姉弟がいるから、なんとか一般社会の中で生きることができている。役に立つとか立たないのレベルではない。言葉にはできない。悲しくなる。冒頭の様な発言をせざるをえないこと自体が、良くも悪しくも、私の「...

    2023年9月25日

  • 人生

    お金のこと

    恥ずかしながらなのですが、今更ながら、当たり前のことに気づきました。自分の家のメンテナンスを、DIYでしようが、田畑で野菜を育てようが、自分のためなのであって、金銭を稼ぐことにはなっていない。しかし、楽しい。収入として得ているのは、もっぱら「教育」関連であって、他人のために、とい...

    2023年9月21日

  • 「無」

    価値観の違い

    阪神タイガースが優勝したらしい。父がファンなので、機嫌良くなってくれたら、いいのではないかと思う。祝っている最中に、大変恐縮なのだが、あのいわゆる「虎吉」さんたちは、どうしてあそこまで熱くなれるのだろうと、小さい頃から思ってきた。同じように、同年代の妻子持ちが、どうしてあそこまで...

    2023年9月14日

  • 教育

    研究者と教育者

    私は、かつて「若手研究者」と呼ばれた立場だったのだが、ただ感覚的に、おのれの経験を踏まえた文章を書きたかっただけだった。そのため、どうしても教壇に立つというイメージが思い浮かばなかったため、現在に至るまで「教育」にはなじめていない。ただ安心しているのは、今「研究者」ではなくなった...

    2023年8月27日

  • 私と評論

    捨てる

    私事になるが、明日部屋を整理して、多数の本を捨てようと思う。昨年度捨てたときには、付箋を付けたところを見返すという作業を行ったように記憶している。今回は、今の私に不必要になった理由が頭に漠然と浮かんだので、処分を決定した。「政治」関連の書籍に関しては、最後まで、マックス・ウェーバ...

    2023年8月16日

  • 私と評論

    生活と芸術

    太宰は、小説を書いて生きていくと決めていたようだ。だから、「斜陽」がベストセラーになったあたりまでは、かなり生活が苦しかったというような話を聞いた。「走れメロス」みたいな物語を書いていながら、友人をだまして、お金を借りたまま返さないといった逸話も聞いたことがある。ちなみに、小林秀...

    2023年8月15日

  • 私と評論

    自意識と自然

    太宰治は、記憶の限りでは、「津軽」などの作品で、故郷の自然について描写していた。津軽の自然は、容易に人間を寄せ付けないというようなことを書いていたように思う。詳しい解釈はできないし、する気もないが、彼にとって「自然」と出会うことが、大きな問題になっていたことは理解できる。罪深さを...

    2023年8月15日

  • ふりかえる

    自分で自分を褒める

    私は、褒められてうれしかった経験を、思い出すことが、できない。否、必死に消そうとしている。なぜか。精神病院に入っていたときに、褒められて、逆に怒りを覚えたからだ。病院側は、善意なのか、マニュアル的なのか、分からないが、前向きな言葉をかけてくれるのだ。実は、教える仕事をするときには...

    2023年8月13日

  • 私と評論

    知識と経験

    太宰治の理想が、戦後理想郷を語っていたそうだ。フランスのモラリストを基調とし、自給自足の生活をするというような類であったような気がする。私は今、趣味で田畑を耕しているが、そのきっかけは、知識の偏りすぎていたことに対する反動もある。中学生や高校生だった頃、借りている畑で、鍬を持って...

    2023年8月9日

  • ふりかえる

    他者批判の資格はあるか

    腹立たしい話なのだが、他の人からモラルの悪さを指摘されたことがある。たしか、「9条の会」が開かれたときに、私が署名しなかったというのが、事の発端だったと思う。私が署名しなかった理由を答えたのだが、そもそもその署名を求める書類を書いた方は、決して強制していなかった。私の言い返し方に...

    2023年7月21日

  • 教育

    学びの意義

    私は、学んだことによって、他者を知り、また自己をも知ることができるようになりつつある気がする。別にコミュニケーション能力が高いというような類いではない。どういう人なのかが、読み取れるようになったのだ。申し訳のないことを言うが、やはり社会に出てから、読書していない人は、すぐに分かる...

    2023年7月19日

  • 教育

    なんて奴等だ

    最近思ったのだが、まじめなタイトルを書籍につけてしまったもんだ。おそらく、自分が積み上げてきた、研究のスタイルから、まだ離れることが完全には出来ていなかったのだろう。しかし、「知識」から決別するきっかけになったことだけは、間違いない。売れなかろうが、前に進むためには必要だったのだ...

    2023年7月4日

  • 文体

    作家との共感

    人間社会で、同じ想いを共有できる人なんていないように思えてきたこの頃。高橋源一郎の「戦争」に関する本を読んでみた。高橋さんは、昔吉本隆明に「現代の太宰治」と呼ばれていたが、正直、ラジオ番組の語りを聞いても、別に感銘は受けない。しかし、書籍の中には、思ったより参考になる話があった。...

    2023年6月19日

  • 人生

    いかに生くべきか

    いきなり暗い話で恐縮だが、統合失調症と診断された頃は、いまにも死にそうだった。どのように死ぬかが問題であった。今は、どのように生きてゆくかが、大問題になった。あまりにも漠然としているので、具体的に考えてみた。学習塾を大きくするという案。どう考えても、大手予備校に正社員で働いても、...

    2023年6月2日

  • 日本的なるもの

    自然と出会う

    太宰治の「津軽」を読んだ。太宰の帰郷は、10年ぶりくらいだったそうだ。実は、読み始めたときは、いっこうにおもしろくなく、あまり気乗りしなかった。津軽の文句なのではないが、地域のことを詳しく知ろうとしているわけではないからだ。しかし、たしか太宰自身が最初あたりで書いていたように記憶...

    2023年5月28日

  • 太宰治

    妻から見た夫

    太宰治の再婚相手が、太宰について回想した著書を読み終えた。身近にいた人間が、「作家」太宰の「実生活」を詳細に語っている点で、非常に貴重であった。妻だけというより、他の人も妻に同感するかもしれないが、偉大な作家の実生活に関する評価は、かんばしくはない。具体的に言えば、「主観のかたま...

    2023年5月16日

  • 太宰治

    傑作

    太宰は、自分が生きる意味とは、後期に「傑作」を残すことにあるのだと考えていたふしがある。『晩年』を上梓する前、おそらくは死ぬ気で書いていたのだろう。しかし、彼が語っていたように、どうしてもこの処女創作集では死にきれなくなったようだ。残されている彼の手紙では、「早く死にてえ」という...

    2023年4月17日

  • 私と評論

    わかりやすさと自画像

    お前の文章はわかりにくいとは、よく言われてきた。そのとき、それではお前の文章はそんなにいいものなのかと聞けば、その場では気分が晴れた気にはなるだろう。人間とはその場で勝てばそれでよいとするものだと、太宰治が『人間失格』で指摘している。そうではなく、「傑作」を残して死ぬのだ、そのよ...

    2023年4月15日

  • 太宰治

    生のなかに死をおさめる

    今更ながらではあるが、処女作を書いていて、一番ひっかかっていたのが、タイトルにある言葉だった。ビクトール・フランクルの言葉では、死を自分のものとするというような感じだったと思う。戦中から戦後を生き切ったものたちであるからこそ、説得力をもつことができたような言葉である。若輩者が吐い...

    2023年4月12日

  • 太宰治

    「真実」を求めて

    最近、東郷克美『太宰治という物語』を読んだ。私の現在の狙いは、かっこよく言えば、日常生活を営みながら、新たな「文体」を模索してゆくことだ。そのような意識をもって、同書を読んだ。改めて自分の処女作を見直すと、研究生活の影響があったためか、まだ文章がかたいようだ。まだまだ理屈っぽいよ...

    2023年4月6日