文筆家
なかにし教室・講師中西 哲也

プロフィールを全て表示

『「自己を知る」ということ』著者・「中西哲也の書評」運営/四谷学院・非常勤講師/ECC国際外語専門学校・非常勤講師/龍谷大学法学部・非常勤講師(~2018年)/関西学院大学・法学研究科・博士後期課程単位取得退学

中西 哲也の新着記事

  • 太宰治

    斉藤利彦『作家太宰治の誕生』

     今回は、斉藤利彦『作家太宰治の誕生―「天皇」「帝大」からの解放』(岩波書店、2014年)を取り上げます。斎藤は、日本が太平洋戦争に向かい、そして敗北したという時代背景を踏まえて、太宰治という作家個人の思想を考察しています。 まず、そのような時代背景における特徴は、「家族国家」体...

    2022年7月4日

  • 太宰治

    三谷憲正『太宰文学の研究』

     今回は、三谷憲正『太宰文学の研究』(東京堂出版、1998年)を取り上げます。太宰の『人間失格』が『如是我聞』と並行して書かれたことを踏まえて、志賀直哉批判との関連についても、三谷は説明しています。以下では、三谷の研究を参考にしながら、私なりに、戦後の太宰の動きを整理してみます。...

    2022年6月16日

  • 太宰治

    太宰治の「桃源郷」

     前回は、安藤宏の書籍を取り上げましたが、今回は、安藤の議論を基礎として、太宰治が理想とした「桃源郷」とは何かについて考えます。参考資料は、安藤宏「太宰治と現代―「自己の内なる天皇制」」(『文藝別冊 KAWADE ムック 永遠の太宰治』河出書房新社、2019年)です。 簡潔に言え...

    2022年6月9日

  • 太宰治

    安藤宏『太宰治 弱さを演じるということ』

     今回は、安藤宏『太宰治 弱さを演じるということ』(筑摩書房、2002年)を取り上げます。安藤は、奥野健男が指摘した「罪の意識」ではなく、「関係」によって太宰文学を捉えようと試みています。それは、簡潔に言えば、「悲劇の英雄」というよりも、むしろ「関係の悲劇」でした。以下では、この...

    2022年6月3日

  • 太宰治

    福田恆存『芥川龍之介と太宰治』

     今回は、福田恆存『芥川龍之介と太宰治』(講談社、2018年)を取り上げます。検討対象である福田の論考は、太宰治論なのですが、それは太宰本人と同時代に書かれたものです。それでは、福田はどのように太宰をみていたのでしょうか。 まず、以下の事実について確認しておきましょう。福田の最初...

    2022年5月15日

  • 人生

    五木寛之『無意味な人生など、ひとつもない』

     今回は、五木寛之『無意味な人生など、ひとつもない』(PHP研究所、2017年)を取り上げます。私の問題関心に沿って、「生と死」に関する論点を整理していきます。すでに考察した通り、朝鮮半島からの引き揚げ経験を有する五木は、今日の自殺者の増加に警鐘を鳴らして、この問題に対してどのよ...

    2022年5月11日

  • 絶望

    頭木弘樹『絶望名言 2』

     今回は、頭木弘樹・NHK〈ラジオ深夜便〉制作班『NHKラジオ深夜便 絶望名言 2』(飛鳥新社、2019年)を取り上げます。先日、「中西哲也の書評」で、『絶望名言』を取り上げたのですが、絶望を表現にまで高めるには、おのれの「弱さ」や「悪」を自覚する必要があるという結論に至りました...

    2022年5月5日

  • 太宰治

    細谷博『太宰治』

     今回は、細谷博『太宰治』(岩波書店、1998年)を取り上げます。太宰治に関しては、このブログですでに考察してきましたが、彼の作品をどのように読むかについて、同書は興味深い視点を提供してくれています。それは、「大人の読み」です。私なりに説明すると、読者が自分の経験に照らして、太宰...

    2022年5月3日

  • 太宰治

    加藤典洋『敗戦後論』

     今回は、加藤典洋『敗戦後論』(筑摩書房、2015年)を取り上げます。加藤は、2019年に『太宰と井伏』を刊行していますが、1995年の「敗戦後論」の中で、すでに太宰治について言及していました。それでは、加藤は『太宰と井伏』で、本格的な太宰治論を展開して、太宰が自殺した原因につい...

    2022年5月1日

  • 太宰治

    坂口安吾『不良少年とキリスト』

     今回は、坂口安吾『不良少年とキリスト』(新潮社、2019年)を取り上げます。太宰治と同じ「無頼派」として知られている作家の坂口は、1948年の時点で、どのように太宰の死を捉えていたのでしょうか。 結論から言えば、坂口は、太宰の死は彼の「虚弱」によるものだと考えています。坂口によ...

    2022年4月25日

  • 太宰治

    加藤典洋『完本 太宰と井伏』

     今回は、加藤典洋『完本 太宰と井伏―ふたつの戦後』(講談社、2019年)を取り上げます。加藤は、前回取り上げた猪瀬直樹『ピカレスク』に刺激を受けて、同書を書いたそうです。それでは、太宰治の死に関する猪瀬の仮説について、加藤はどのように考えているのでしょうか。 まず、加藤は、『人...

    2022年4月21日

  • 「無」

    鈴木祐『無(最高の状態)』

     今回は、鈴木祐『無(最高の状態)』(クロスメディア・パブリッシング、2021年)を取り上げます。鈴木は、苦しみのメカニズムを理解した上で、エビデンスに基づいた対策を取るように提唱しています。鈴木は、脳科学や神経科学の最新の成果を紹介しながら、柔軟な思考で変化に対応するには、「観...

    2022年4月17日

  • 親鸞

    五木寛之『私の親鸞―孤独に寄りそうひと』

    親鸞との出会い 今回は、五木寛之『私の親鸞―孤独に寄りそうひと』(新潮社、2021年)を取り上げます。なぜ五木は親鸞の教えに心惹かれたのでしょうか。もしかすると、戦争体験がなければ、五木の親鸞との出会いは、それほど私たちに感銘を与えるものではなかったかもしれません。 五木は、大日...

    2022年4月10日

  • 親鸞

    五木寛之『はじめての親鸞』

    五木寛之の親鸞像 今回からは、親鸞について考えていきます。以前に五木寛之の考えを考察しましたが、その中核にある親鸞の思想を取り上げます。初回は、五木寛之『はじめての親鸞』(新潮社、2016年)です。 五木は、次のような親鸞像を紹介しています。「親鸞は人間が好きだった。人に対して深...

    2022年3月27日

  • 小林秀雄

    人生観(14)

    「政治学」との出会いと別れ 今回は、小林秀雄シリーズの最終回です。私個人の経験から論点を整理して、小林の議論の意義をまとめます。 私は、国際政治学で軍事力の問題について研究していたのですが、「統合失調症」を罹患してしまいました。その後、己の狂気を見つめたという経験に基づいて、自力...

    2022年2月24日

  • 小林秀雄

    人生観(13)

    歴史のなかで直接経験する これまで述べてきたように、「創造」を生み出すという自覚を生むためには、自然と出会う必要があります。なぜかと言えば、「直接経験」を積み、「過去が現在に生きている」という状態になることができるからです。今回は、この点について具体的に説明します。 小林秀雄は言...

    2022年1月21日

  • 小林秀雄

    人生観(12)

    描写と観察力の時代 前回説明したように、小林秀雄によれば、表現には自覚が必要です。具体的に言えば、詩が音楽家の創作方法に倣ってつくられるとき、言葉は「感覚的実体」となるのです。なぜ小林がこの点について強調したのかと言えば、以下で説明するように、観察力に基づいて描写が重視されるに伴...

    2021年12月27日

  • 小林秀雄

    人生観(11)

    どう生きるべきか 前回は、「実在」と出会って運命感を得ることによって、生きてゆく自覚が生まれることを確認しました。今回は、この自覚が生まれてはじめて、表現することが可能になるということを指摘します。 まず、小林秀雄は、次のように述べています。「例えば文学上の自然主義とか絵画上の印...

    2021年11月21日

  • 小林秀雄

    人生観(10)

    「悲劇について」 それでは、「実在」とは何で、どうすれば生きる覚悟を持つことができるのでしょうか。引用が長くなりますが、小林秀雄の論理を追ってゆきましょう。 まず、小林は「悲劇について」において、ドイツの哲学者・ニーチェの議論を踏まえて、「嫌悪すべきものを悉く無条件で肯定する」と...

    2021年11月8日

  • 小林秀雄

    人生観(9)

    「中原中也の思い出」 今回は、小林秀雄の「無私の精神」の論理を確認した後で、その論理に沿って、詩人の中原中也について書きます。これまで説明してきたように、小林によれば「無私」とは、「内的経験」をして“主客未分化”の状態になることです。 「無私」の状態とは、...

    2021年10月31日