文筆家/なかにし教室・講師
中西 哲也

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四谷学院・非常勤講師/龍谷大学法学部・非常勤講師(~2018年)/ECC国際外語専門学校・非常勤講師(~2021年)/関西学院大学・法学研究科・博士後期課程単位取得退学

中西 哲也の新着記事

  • 小林秀雄

    人生観(2)

    『遠野物語』と白鹿の話 今回は、「信ずることと知ること」を取り上げます。この論考にて小林秀雄は、「宗教的体験」とその意義について、具体的に論じています。筆者なりにまとめると、なぜ柳田国男は『遠野物語』という優れた作品を生み出すことができたのかということが、小林の問題意識なのです。...

    2021年4月12日

  • 小林秀雄

    人生観(1)

    小林秀雄の「宗教的体験」 今回からは、「宗教」に関する新たなシリーズに入ります。五木寛之の議論を検討した結果、「宗教的体験」をする重要性を学びましたが、課題は、それを「他力」ではなく「自力」で為すということにありました。このシリーズでは、この点について深く考察していきます。 この...

    2021年3月26日

  • 五木寛之

    大河の一滴(9)

    「信ずる」ということ 今回は、本シリーズの最終回です。五木寛之の人生論について、その意義と問題点をまとめます。これまで筆者(中西)は、五木の議論の意義を確認した上で、「創造性」の論理との比較を試みてきました。 筆者の問題意識は、「統合失調症」を罹患した後、どうすれば「狂気」を「創...

    2021年3月9日

  • 五木寛之

    大河の一滴(8)

    自分を慰める 前回は、「慰める」ことで「自力」につなぐというのが、宗教の役割であることを説明しました。ただ、筆者(中西)の経験上、「慰める」前提には「悲しみ」があって、その「悲しみ」の根底には「罪の自覚」があります。今回は、これまでの批判的検討を踏まえて、宗教と創造性の論理の違い...

    2021年2月22日

  • 五木寛之

    大河の一滴(7)

    〈生きがい〉 前回は、〈悲〉の情感から出発して自然(神仏)とつながるという、五木寛之の論理を確認しました。また、『大河の一滴』の論理は、『他力』と同じく、〈他力は自力の母である〉というものです。そこで今回は、神仏とつながった(他力)後に「自分の内」を省みる(自力)という論理につい...

    2021年2月11日

  • 五木寛之

    大河の一滴(6)

    〈悲〉の情感から出発する 前回は、〈いまここに居る〉という現実を見つめるためには、自然と一体になる必要があるという五木寛之の議論を検討しました。それでは、自然と一体になるには、どうすればよいのでしょうか。今回は、その答えとして五木が、〈悲〉の情感から出発するべきだと主張しているこ...

    2021年1月25日

  • 五木寛之

    大河の一滴(5)

    新型コロナについて 前回検討したように、五木寛之によれば、生命の流れや自然、そして宗教とつながることでこそ、「悪を自覚する」という「意識」が生じます。また、五木によれば、自然と一体になることができれば、おのれに問い、〈いまここに居る〉という現実を見つめることができます。今回は、こ...

    2021年1月17日

  • 五木寛之

    大河の一滴(4)

    宗教の論理 今回も、五木寛之『大河の一滴』の論理を批判的に検討します。この目的を達成するべく、改めて、筆者(中西)の祖父の話をしておきます。 すでに説明しましたが、筆者の祖父は、太平洋戦争の沖縄戦を生き抜きました。そして、戦後祖父は、“気が狂い、自殺する”...

    2021年1月8日

  • 五木寛之

    大河の一滴(3)

    悪を自覚する 今回は、筆者(中西)の視角に基づいて、五木寛之『大河の一滴』を批判的に検討します。具体的に言えば、他力は自力の母である(先に神仏とつながる)という考えに対して、先に悪を自覚するからこそ神仏を感じられるという考えを提起します。 まず、五木は、次のように述べます。「私の...

    2020年12月30日

  • 五木寛之

    大河の一滴(2)

    自殺を思いとどまった理由 今回からは、前回明らかにした視角に従って、五木寛之の『大河の一滴』を読み解いていきます。 さて、本の冒頭で、五木は、次のように告白しています。「私はこれまでに二度、自殺を考えたことがある」(五木寛之『大河の一滴』幻冬舎文庫、1999年、13頁)。誰にでも...

    2020年12月25日

  • 五木寛之

    大河の一滴(1)

    『他力』の論点 これまで『人生の目的』と『他力』を検討してきましたが、今回からは『大河の一滴』を検討していきます。今回は、前シリーズの『他力』の論点を再度整理した上で、『大河の一滴』を読み解く視角を明らかにします。 五木寛之の問題意識は、「アイデンティティ」にありました。自己と日...

    2020年12月14日

  • 五木寛之

    「他力」(10)

    〈生老病死〉 前回は、〈悲〉の情感から出発する“前提”として、その情感をどのように見つめるのかという点が核心的であることを指摘しました。「他力」思想では、自己と神仏が一体化するため、ヨーロッパ文明とは異なって、「自分の内」で神仏と出会います。シリーズ最終回...

    2020年11月30日

  • 五木寛之

    「他力」(9)

    「戦争責任」について 五木寛之は、欧米と日本の宗教観の違いを踏まえて、「戦争責任」について総括を行っています。今回は、彼の総括を検討することによって、「他力」思想の論理の“前提”を抽出します。 さて、五木の考察を参考にすると、西洋文明の根底には、その宗教観...

    2020年11月23日

  • 五木寛之

    「他力」(8)

    日本人の精神とは何か 今回は、欧米の宗教・世界観に関する前回の検討を踏まえて、五木寛之の「他力」思想の核心的論理を抽出します。近代日本が「アイデンティティの崩壊」に直面している中で、現在求められている「宗教的な感覚」とは、一体何なのでしょうか。 五木によれば、その「宗教的な感覚」...

    2020年11月9日

  • 五木寛之

    「他力」(7)

    資本主義の精神 次回に、五木寛之の「他力」思想の論理を抽出するべく、今回は、欧米の宗教との比較を行います。五木によれば、近代社会の発祥地である欧米諸国よりも、むしろ日本の方が、「アイデンティティの崩壊」という近代の問題は深刻です。 まず、五木によれば、近代の知性は、ルサンチマンや...

    2020年10月31日

  • 五木寛之

    「他力」(6)

    なぜ「絶望」すべきなのか 前回は、近代日本が「アイデンティティ」の問題を抱えている点を、五木寛之が深刻に捉えていることを確認しました。その問題点とは、日本人が「絶望する」ことが苦手だということです。より具体的に言えば、自己と日本人の存在理由を根源的に問うことができないということで...

    2020年10月12日

  • 五木寛之

    「他力」(5)

    近代の問題 今回は、再度筆者の仮説を説明して、五木寛之の議論を批判的に検討する視角を確認します。筆者の仮説とは、五木の論理に従えば、悪を自覚することまで「他力」にゆだねてしまうことになりかねないというものでした。要するに、「他力」思想には、罪の意識の弱さという問題があるということ...

    2020年10月4日

  • 五木寛之

    「他力」(4)

    〈諦める〉 前回は、五木寛之の「他力」思想の核心に切り込むべく、「オウム真理教」に関する五木の見解を考察して、悪を自覚することと、仏を信ずることとの関係を問いただしました。要するに、悪を自覚してはじめて仏の側から呼びかけてくれると言う一方で、ひと筋に仏に帰命するべきだと言うことは...

    2020年9月27日

  • 五木寛之

    「他力」(3)

    親鸞の「無差別救済」 前回は、五木寛之の見解を批判的に検討して、次のように問いかけました。それは、人事を尽くすことを「天命」にゆだねるのであれば、悪を自覚することもまた「他力」にゆだねてしまうのかという問いかけです。 今回は、この問いかけの意味を説明するべく、オウム真理教に関する...

    2020年9月20日

  • 五木寛之

    「他力」(2)

    法然の教え 前回は、『人生の目的』の批判的検討に基づいて、五木寛之の思想の根幹に位置する「他力」について検討しました。簡潔に言えば、筆者(中西)の問題意識は、悪を自覚して神仏と向き合うことにも、「意志」(自力)が必要なのではないかということでした。 仏と向き合って悪を自覚する人が...

    2020年9月14日